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[鍼灸治療は癌の本治法であり、現代医学の治療は標治法である]

 癌の鍼治療は癌細胞が飛び散るので問題があり、鍼治療は禁忌にすべきであると言われてきた。 

 細い鍼を使って行う鍼治療は、メスを使用する外科手術と比較すると、鍼治療で癌細胞が飛び散るという議論は問題にならない。

 固まった状態の癌細胞を針で溶かして、飛び散った状態にした方が叩きやすくなる。可能ならば積極的に局所治療はした方がよい。鍼治療は、全身的に免疫力が上がつている状態にして治療するので、固まっている癌細胞より、ばらけた状態にして治療した方が効果的である。

 例えば、乳癌は表面的なので、局所的治療ができる。親指大の大きさの場合、直接、局所に刺針すると、1〜2回の治療で、癌は溶けてなくなることがある。癌も、痰湿と瘀血の結合したものなので、鍼治療で、様々な凝りが取れるのと同様に、治療効果においては変わりがないと思われる。

 全身的に転移している内臓の癌に対しても、針治療を集中して行うと、様々な症状が緩和するとともに、癌の指標となる数値も低下して、一定の治療効果が見られる。癌そのものが、目に見えて小さくならなくとも、症状が緩和し、のち、数ヶ月の寿命と言われた人が、数年経っても生きている人もいる。この場合は、症状が緩和した状態で、癌と共存できることを物語っている。これは、臨床上は、癌があっても、実質的には、治癒している状態に近い。

 内科的な癌の治療は、乳癌のような直接的刺針ではなく、手足のツボに遠隔取穴する弁証配穴なので癌が飛び散る問題はない。間接的な弁証取穴であっても、癌そのものを消失させることは可能である。臨床経験が不十分なので、現段階では、曖昧な話になるが、臨床経験に基づいた多数の症例ができれば明らかになる。

 癌は痰瘀互結だから、鍼灸治療を集中して行えば、痰湿と瘀血が解けて癌がなくなると考えられる。癌に類似している腫瘍や凝りも、痰湿あるいは瘀血であり、癌ほど頑固な結合ではないので、治療は比較的シンプルになるので治しやすい。

 針灸治療は、キラーT細胞、NK細胞を増殖させて癌と闘う免疫力を向上させて癌の予防と治療を行うので、根本的な治療法である。

手術や抗がん剤や放射線療法による現代医学の治療は、対症療法として一定の有効性があるが、癌の原因に対する治療ではないので、再発を根本的に防ぐことはできない。

 灸治療は自己治癒能力を高める免疫療法である。灸で皮膚を火傷させると、火傷の治療のために、白血球やリンパ球が増殖する。増殖した免疫細胞が、ついでに癌細胞を食い殺すことになる。

 癌細胞は、毎日できているが、免疫細胞が充実していれば癌になることはない。免疫力が低下すると癌になる。根本的な癌治療は免疫力を上げることである。

 また、痰湿と瘀血が悪質な結合をしている癌の治療のカギは、去痰と活血化瘀である。そのためには、食事療法とストレス対策、適度の運動で、痰湿と瘀血が作られないような養生が大切である。

 低体温は癌になりやすいと言われているが、肝気鬱結で気血の巡りが悪化すると低体温になる。低体温の治療は肝気鬱結の治療をして、気血の巡りを良くすればいい。また、陽虚証による冷えには命門や関元に灸をすると良い。

 国民の約半数は、癌になり、苦しみながら、癌で死んでゆく。癌は、最も、一般的な病であり、最も、深刻な病である。最も必要とされている癌治療に対して、鍼灸は、何もできないというのであれば、鍼灸は、医学に値しないと言われても仕方がない。

 鍼灸こそが癌治療の最も頼りになる治療法であると国民に認められるような医学にしてゆきたい。何年、何十年かかろうと、大勢の鍼灸師が、諦めずに、協力して取り組み続けることが成功の鍵だと思う。

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