中医学的な疾患の捉え方
ここでは、中医学的に疾患をどう考えるのかを解説します

*認知症
高齢化が進む現代では認知症の問題は深刻です。
認知症は代表的なもので、「アルツハイマー型」「脳血管性」「レビー小体型」「前頭側頭型」に分けられます。
原因として主に、異常なたんぱく質が脳に蓄積したり、脳の神経細胞が死んで脳が委縮することにより
発症すると考えられています。
<症状の例>記憶障害(ついさっきのことが思い出せない)、理解力・判断力の障害(会話が成立しない等)、
料理ができなくなる、感情表現の変化、不安感、徘徊、うつ状態など
♢♦中医学ではどのように考えるのか?
従来、認知症は老化により腎気(人が生まれ持ったエネルギー。年をとるにつれ減少します)が損なわれ、
脳に栄養が送れなくなり(脳は腎により滋養されいてると中医学では考えます)、
委縮が進み、物忘れなどの症状が起こると考えられていました。
よって、治療は不足した腎気を「補う」ことにより行われてきました。
しかし、現代では「老化」という面よりも生活習慣病などに代表されるように
「栄養過多」により引き起こされる病気の方が多いのです。
つまり、これまでの不足することが原因であった時代から、
取り過ぎることが原因となる時代へと変化したということです。
中医学では食べ過ぎ・飲み過ぎがあると「痰湿(たんしつ)」というものが作られると考えます。
(現代的にいえば、コレステロールや老廃物のようなもの)
そして、この痰湿が増えすぎると、経絡の中に詰まり、気血(きけつ)の通り道をふさいでしまいます。
これは全身のいたるところで問題を引き起こす可能性がありますが、
この痰湿が脳への通路(経絡)をふさいでしまい、
脳に栄養(気や血)が送られなくなると、脳が部分的に栄養不足になります。
現代では、この全身的には栄養過多であるにも関わらず、部分的な栄養不足が起こっている状態が
多くの問題を引き起こします。
また、現代人の多くの人が抱えるストレスも、「肝」の働きを阻害し、
「瘀血(おけつ)」が作られる為、痰湿と同様に脳への通路を塞いでしまい、問題を引き起こします。
(中医学的な考えでいう「肝」なので西洋医学の肝臓とは異なります。
瘀血→血液の循環が悪いと作り出されるもの)
よって、現代のライフスタイルの変化に合わせ、治療法もそれに合わせたものに適応する必要があります。
このように、現代に合わせた中医学的診断を行い、
原因を正確に捉えることで、より高い治療効果をあげることが出来ます。
